信のないひと わしゃおそろしや
ざんぎの水が ないからよ
信のあるひと わしゃこいし
ざんぎの水が あるからよ
(才市さん『ご恩うれしや』, p.9)
(信心のない人は自己反省のない人で,そういう人はおそろしい.
信心のある人は自己反省のある人で,そういう人は慕わしい.)
「さんぎ 慚愧」を「自己反省」と言うと,ちょっと意味がずれるような気もしますが,まぁ,第一次近似としてはこんな意味でしょう.
さて,森山直太朗に「さくら」という歌がありますね.私の好きな歌の一つですが,その中に次のような歌詞があります.
さらば友よ 旅立ちの刻《とき》 変わらないその想いを 今
今なら言えるだろか 偽りのない言葉
輝ける君の未来を願う 本当の言葉
卒業を迎えた高校生に向かってこれが歌われたとき,こんなことを言った人がいました.
「今なら言えるだろうか、偽りのない言葉」だってよ。卒業式まで同級生に偽りの嘘ばかりついてたんだね。嘘吐き学生さん達よ、って言われて平気なの?
(「松平宇宙」, YouTubeへの投稿)
ま,単に人騒がせだけを目的にした投稿も多いところなので,聞き流せばよい発言なのかもしれません.あるいは,“偽りの言葉”,”本当でない言葉”の意味を狭く理解し,その結果,こんな感想が出てきたのでしょうか.でも,そうだとしても,「私は友人に嘘をついたことは一度もない」って断言する人がいたら・・・.ひょっとしたら非常に立派な人なのかもしれません.でも,やっぱり恐ろしい.ふと,冒頭の才市さんの口あいを思い出しました.
【補足】
才市さんの口あい: 石見の才市顕彰会編『ご恩うれしや』, p.9.
「さくら」の歌詞は,YouTubeの「さくら(独唱) 森山直太朗」(2011/07/25にアップロード, 2016.2.9 閲覧)の字幕から引用しました.
「松平宇宙」さんの投稿は,この映像に付けられた2015年頃の(?)「コメント」です.
この映像は,森山直太朗さんがある高校の卒業記念式典(?)で「さくら」の歌を歌った時のものだそうです.この高校の合唱部が,「さくら」CDの合唱を歌ったことがあるらしいので,そういう縁からでしょうか.途中,森山さんが「みなさんもご一緒に」と言ったら,生徒たちが合唱で合わせてきて・・・.芸術の根っこの部分を見たような気がしました.生徒たちの表情がとても良い(最初,女子高校生の“キャー”なんて声が入っていますが,そこでやめずに歌が始まるまで見てください).でも,こんな映像にイチャモン付けたがる人がいるわけで,世の中さまざまですね.
才市さんのこの口あいは以前にもご紹介していました.