恋しくば なむあみだぶを 称うべし
才市が心に住む弥陀よ
(『ざんぎとかんぎ』, p.65)
前回,「才市や ほとけが みたいなら こころを 見よ」という才市さんの口あいをご紹介しましたが,そのなかに,「機法一体」という言葉がありました.これは才市さんの口あいによく出てくる言葉です.
南無と帰命する機と阿弥陀仏のたすけまします法とが一体なるところをさして,機法一体の南無阿弥陀仏とは申すなり.(『御文章』第4帖の8)
才市さんはこの「機法一体」を,阿弥陀さま(法)は常に私(機)と一緒にいて下さる,と味わっていたようです.そのことを,この口あいでは,「才市が心に住む弥陀よ」とうたっています.
英語の「グッドバイ good bye」は,元々は,「God be with ye」つまり,「神様があなたと共にありますように」という意味だそうです(「ye」は,「you」の古語).そこで,「ブッド バイ」(仏があなたと共にある)という言葉を作って本の題名にされた方がいらしたように思います.この言葉を借りれば,今回や前回の口あいは,「いつもブッド バイだよ」という阿弥陀さまの呼び掛けを喜ぶものと言えるでしょう.そして,その呼び掛けの言葉が,「なむあみだぶつ」ですから,阿弥陀さまが恋しければ,「なむあみだぶを 称うべし」.
【補足】
『御文章』:『真宗聖典 注釈版』ではp.1179.