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[才市] 法敬さまと蓮如さま
旧ブログ 2014年4月 4日 (金)

法敬さまと蓮如さま
お名は変われど 心はおなじ
あさましの わしをたすけるみのり≪法≫なり
なむあみだぶつ なむあみだぶつ
(楠, 三, p.192)

 才市さんは,『蓮如上人聞書』を通してしか知ることができない法敬坊の話を口あいに歌っている・・・そういう源氏の指摘を前回ご紹介しましたが,その例として引用されているのがこの口あいです.

 法敬坊についてはこんな口あいもあります.

蓮如さまでも法敬を相手
大悲の親は才市ゅ相手に
(鈴木, pp.105 -- 106)

 蓮如さまは法敬坊を相手に法を説かれた,阿弥陀さまはこの私を相手に法を説いてくださる,という意味でしょうか(蓮如さま「でも」,というのがちょっとわかりません).

 しかし,蓮如上人が法敬坊に法を説かれたのは,実は,それをこの私に見せ,それによって私に法を説くためだったと味わうこともできます.つまり,阿弥陀さまが,この私のために,蓮如上人と法敬坊の役を演じていらっしゃる・・・.最初の口あいは,そのような味わいから出て来たものではないかと思いましたが,いかがでしょうか.

【補足】
 楠, 三, p.192:楠恭編『妙好人才市の歌 全』の三, p.192(三の第7ノート, 84番).
 鈴木, pp.105 -- 106:鈴木大拙編著『妙好人浅原才市集』, pp.105--106.

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