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「惜しくも2位」
旧ブログ 2014年8月 3日 (日)

 今日は,才市さんとも(直接には仏教とも)関係ない話です.

 こんなジョークを聞いたことがあります.

米ソ冷戦が激しかった頃のこと.ケネディとフルシチョフが百メートル競争をした.結果は,ケネディの勝ち.それを伝えたソ連の新聞記事は「同志フルシチョフは惜しくも2位,ケネディはビリから2番目」

 百メートルだったかマラソンだったか,あるいは,ケネディとフルシチョフ以外の人物だったか,そのあたりの記憶は曖昧ですが,いずれにせよ古いジョークです.こんな古いジョークを持ち出したのは,最近,これとそっくりの報道に出会ったからです.

 8月1日付の朝日新聞に,「すき家」の多くの店が人手不足から閉店に追い込まれているが,それに関する調査結果が出たという記事がありました.
 すき家では,違法過重労働が日常化していて,それが原因で病気・事故,退職に追い込まれる人が多く,昨年度は退職者の方が採用者を上回る状態であることが明らかにされた.さらに,労働基準監督局から違反を何度も指摘されているが,それについて社長は「まだ事実について確認できていない」と言っている・・・という記事でした.

 その日の夜だったと思いますがNHKがやはり,すき家の報告書が出たことを取り上げていました.こちらは:
 すき家では,人手不足のため過重労働になっている,さらに,建設業でも人手不足は深刻で,熟練者が減った結果,事故の危険が増している・・・という流れでした.
 全体として,人手不足は,雇う側だけではなく,雇われる側にも過重労働や事故などの問題をもたらしていると訴えているような印象を受けました.

 過重労働と人手不足の関係は卵と鶏のようなところもあるのでしょうが,すき家の調査結果が出たことを受けたニュースについて,朝日新聞記事とNHKニュースとから受ける印象がはっきりと異なり,最初のジョークを思い出しました.

 

【補足】
 高校の頃でしたでしょうか,ある問題について,二つの新聞の記事の印象が正反対なのに驚いたことがあります.当時,a新聞とb新聞が入っていたのですが,あるとき,a新聞に,AとBの争いについて,詳しい記事が何日も載りました.それを読んで,Aが正しくてBは言語道断,こんな問題が起こっているのにb新聞がこの問題を取り上げてBを批判しないのはおかしい,などと思っていました.やがて,b新聞にもその記事が出始めたのですが,それを読むと,いや,Bにも同情すべき点が多々あり,Aはちょっとやり過ぎではないか,という印象を受けたのです.
 しかも,a新聞とb新聞,事実関係で矛盾したことを書いているわけではないのですね,これが.ただ,何を書き,何を書かないかが違っていたり,同じことを書いてあっても言葉遣いが違っているわけです.嘘をつかなくても全く逆の印象を与えることができるという実例を目の当たりにし,非常に印象的でした.
 今回のすき家のニュースは,それほど極端なものではありませんが,でも,最近は,NHKに対して疑心暗鬼になってまして,上の報道なども,なるほど,安部政権は安い労働力を外国から積極的に導入したいと思っていて,NHKがそれを代弁したのかな,などと,つい,勘繰ってしまいました.

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