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[才市] わたしゃ 逃げます あなたの前を
旧ブログ 2010年9月26日 (日)

わたしゃ にげます あなたのまえを
逃げば 逃げ
なむあみだぶに 入れてある
なむあみだぶに つれられて
みだの浄土に にげてゆく
(『ご恩うれしや』, p.190)

 親鸞聖人は,摂取とは

摂はものの逃ぐるを追はへとるなり.
摂はをさめとる,取は迎へとる

ことだとお示しくださいました.私たちは,真理が分からないだけでなく,真理から目をそらし,目先の都合のいい幻想に逃げ込もうとします.そんな私たちを追いかけ,常に中におさめとり,寄り添いながら,私たちが逃げていくまさにその先に浄土を準備して迎えてくださるのが阿弥陀さまの働きでした.
 そうと決まれば,気楽なもんです.私がどっちに行こうが,先回りして待っていてくださるわけですから,ま,ぼちぼちいこか,ということで.

【補足】
「摂取とは・・・」:よく引用される親鸞聖人の語釈(左訓)です.教学伝道研究センター(西本願寺)のこのページをご参照ください.

 私は怪奇小説の類が好きで,そんな映画もよく見て同居人の顰蹙を買っております.もっとも,内蔵が飛び出す気持ち悪い映画や,チェーンソーで切られる痛い映画,あるいは,後ろからいきなりわっと言って驚かす心臓に悪い映画は苦手です.最近の怪奇映画はこの手が多くて困ったもんです(^^;).それはともかく,怪奇映画でときどきあるパターンに,オバケから必死で逃げているうち,気がついたらオバケの巣窟に追い込まれてたというのがあります.才市さんの歌もこれと同じで・・・なんて言うと,このドアホが,言うに事欠いて,なんちゅう喩えを持ってくるんだと,大顰蹙を買いそうですね(^^;;;).
 なお,オバケの本拠に到達するため,相手の裏をかいて,わざと逃げて見せるというのも小説や映画で時々あります.阿弥陀さま相手にこれをやろうとする人もいるようで.でも阿弥陀さま裏をかこうなどとするのは,それこそ二重底の自力でろくなことになりません.

コメント

私の好きな 親鸞上人のご消息に 美濃国平居(岐阜県関ヶ原)御同行中へ 宛てられたものがあります。聖人68歳5月17日とあります。
このお手紙の最後に 
念仏ニテ地獄ニ落候ハ 親鸞カ無間地獄ニマチマウスヘク候
マチウケノ地獄ヘ御イテナサルヘク候 如件
とあります。他の消息では 浄土にて必ず必ず待申す といわれていますが、私のような堕ちこぼれのためにも 分身の術 を使い、行き先の
無間地獄でも 現在進行形で待っていてくださるそうです。安心して
地獄に行かせていただく覚悟ができたことです。
それにしても 阿弥陀様も親鸞聖人もかなりしつこいお方でありますね。
そのしつこさに甘えちゃいましょうか・・・

>それにしても 阿弥陀様も親鸞聖人もかなりしつこいお方でありますね。
>そのしつこさに甘えちゃいましょうか・・・

失礼なものいいになりますが,こういう言い方,なんとなく好きです.そうなんですよね,しつこい方だから無駄な抵抗はさっさと止めて,甘えちゃえ,と.そういえば,“阿弥陀さんとのいくさなんかさっさと止めて降参し,阿弥陀さんに抱えてもらって扶持をもらえ”というような歌が才市さんにあったような・・・.ちょっと探してみます.

このご消息,知りませんでした.私が普通見ている西本願寺の『真宗聖典 注釈版』には載っていないようです.インターネットで検索したら出てきたので,自分自身の心覚えとして,コピーしておきます(ただし,“2ch”に他のサイトからの引用として掲げられていたもので,その元のサイトはリンク切れになっていました).

念仏ニテ極楽ニ往生スヘク候ヤ、念仏ニテ地獄ニ落候ヤラン、曽テ親鸞ハ知ル事候ハス、
釈迦一代の諸経ノ中ヲ見候ニ、念仏ナラデハ凡夫の往生トケカタシト明ニ見エタリ
天竺ノ竜樹菩薩天親菩薩曇鸞大師道綽禅師善導大師源信和尚我師法然聖人ヨリ、
マサシク念仏ニテ往生トケ候ヲ、教下サレ候アヒタ親鸞ハ念仏ニテ往生トケ候ト
オモイトリテ、仏恩報謝ノ称名ヲヨロコヒ候、人間ノ常トシテ過去六道四生ニサマヨイ
何ニヨリテ人界ヘ出候トイヘルヲシル事カナハス候ヘハ、死ニタルサキヲ地獄餓鬼畜生ノ三途ヘ
カエリ候ヤ、又浄土ニ往生イタシ候ヤラン是ヲ知コトカナハサルニ候、唯念仏ニテ往生トケ候ト
オモイ定テ御ヨロコヒ候ヘ、モシ念仏ニテ地獄ニ落候ハ、親鸞カ無間地獄ニマチマウスヘク候、
マチウケノ地獄ヘ御イテナサルヘク候如件
5月17日 68歳

親鸞 美濃国平居 御同行中ヘ

全体としては『歎異鈔』第2段を思わせる内容ですね.ただ,歎異鈔の方は,それこそギリギリのところで敢て言い切っているという感じですが,こちらは,なんなく余裕が感じらるような気がしまた.

ご紹介いただき,ありがとうございました.

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