鐘の音 こころに響く 鐘の音
今はあなたの をな《お名》に ひびきとられて
(鈴木, 11:075)
前回の続きです.
喚鐘に喚ばれて,畑の泥足のまま寺の方に駈け出した善太郎さん, とうとう,鐘の音に引かれて引っ越してしまいました.
善太郎さんはこの鐘の音を朝夕聞きたいからとて,・・・親の代から住んでいた家をたんで,光現寺のま向こうの丘に転住したのである.・・・本堂の勤行の鐘の音も,梵鐘の音も,ま向いに住む善太郎さんのハラのそこからの称名をさそったにちがいない.
(菅, p.24)
才市さんも善太郎さんも,鐘の音を聞くたびにお念仏 (「あなたのお名」) が口に出,その響きに包まれたのでしょう.
【補足】
鈴木, 11:075: 鈴木大拙編著『妙好人浅原才市集』, ノート11の75番(p.151).用字,改行などを読みやすく改ました.
菅: 菅 真義『妙好人 有福の善太郎』(光現寺内栄安講 発行,百華苑 発売, 増補5版, 1994), p.24.「・・・」は引用者(junk)による省略.ハーベスト出版 編集『親子で読んでほしい 妙好人 有福の善太郎』(松江市:ハーベスト出版, 2011)では pp.7--9に同じ話が紹介されています.