こんな さいちよい
へ
あのな 末代無智の御文章さまは だれがか《だれのか》
ありゃ わしがであります
なして[どうして?]
それでも あなた
たとゑ罪業は深重なりとも 必ず弥陀如来は救いましますべし[と]
いいなさるけ[おっしゃるから] わしがものでありますよ
なむあみだぶと ゆうてあります
(楠, 二, pp.71--72)
「末代無智」の章にかかわる口あいをもう一つ.
前回の記事でリンク先の写真をご覧くださった方は,「これもわしが」という才市さんの書き込みに気付かれたと思います.“これもわしがため”,あるいは“これもわしがもろうた”という意味ですね.末代無智の章も「わしが(ため)」,というのがこの口あいです.
「末代無智の・・・」というのは自分のことだと立ち上がった逸話に対し,この口あいでは,「弥陀如来は救いましますべし」,「なむあみだぶと ゆうてあります」と,法の深信に重心がかかっているような感じがしました.
【補足】
楠, 二, pp.71--72: 楠恭編『妙好人才市の歌 全』の二, pp.71--72(二の第3ノート, 8番).