わしのくよくよ もやもやに
六字が入りて ご化導なさる
ご恩うれしや なむあみだぶつ
なむあみだぶつ
(鈴木, p.310)
もう10年くらい前のことでしょうか.ある闘病記がずいぶん話題になったことがあります.真正面から病と向き合い,最後まで希望を失わずに闘い続ける,その力強い姿勢を賞賛する声がマスコミにあふれました.そんな中で,こんな書評を目にしました.
確かに,この著者の姿は感動的である.この本によって力付けられる患者も多いだろう.だが,皆が,この著者のように力強く病と向かい合えるわけではない.そんな人が,この本の著者のように強くなければならないと思ったり,「あなたも頑張りなさい」と言われて,頑張れない自分に苦しむことはないだろうか.そんな危惧も感じた.
(要旨:記憶による引用,出典不明)
確かに,正面から向かい合えと言われたら,正直,苦しい.どうしても,クヨクヨが出てきて,モヤモヤを持て余してしまいます.でも,そういうクヨクヨ・モヤモヤに寄り添ってくださるのが,南無阿弥陀仏なのでした.
いらいらや くよくよのみの 人の世も 名残なつかし 今日の一日
(永尾雄二郎)
【補足】
鈴木, p.310 :鈴木大拙編著『妙好人浅原才市集』, p.310(ノート19の50番).
永尾雄二郎:この歌は以前にご紹介しました.そこでは,孫引きで「長井雄二医師の高倉会館でのお話」と書きましたが,これは「永井雄二郎医師」の写し間違いでした(失礼しました).
さらに,インターネット検索で,同じ話が 「『健康と念仏』長尾雄二郎著から」の話として紹介されている頁を先ほど見つけました.そして,さらに,さらに,「長尾雄二郎」で検索を掛けたら,「永尾雄二郎」ではないかと,google君が教えてくれました.
永尾雄二郎著『健康と念仏』(東本願寺伝道ブックス (18))という本があるようですので,どうもこれが正解みたいです.インターネットは便利,というより,やっぱり孫引きは危ないなぁ・・・.ですから,この訂正も,本当はこの本を見てからすべきなのでしょうけど.