私は中学生のとき漢文の試験に「日本に多きは人なり.日本に少きもまた人なり」といふ文章の解釈をだされて癪にさはつたことがあつた・・・[中略]・・・日本に人は多いが,本当の人物は少い,とハッキリ言へばいゝぢやないか.
(坂口安吾「教祖の文学」)
気がつけば,半年以上放置していました.まだ,続ける意思はあるよ,ということで,今回は,いわば,つなぎの記事です.
さて,最近,坂口安吾の作品をまとめて読む機会がありましたが,引用したのはその中の一節です.“散文は舞ってはいけない,すたすたと歩いて行くものである”というようなことを聞いたことがあります.「歩こう,歩こう,私は元気・・・」と,すたすた歩いて,気がつけば随分遠くまで来ていた,というのが散文の理想ですね.
私自身,下手な舞を舞いたがるところがありますので,自戒の意味をこめて・・・.
【補足】
坂口安吾「教祖の文学」:青空文庫所収の電子ファイルから.
青空文庫には同趣旨の「一家言を排す」も収められていますので,これも,ぜひ,ご一読を.坂口安吾といえば,高校のとき,国語の教科書に載っていた「ラムネ氏のこと」を印象深く覚えていましたが,これも青空文庫に入っていて,今回,ウン十年ぶりに読み返しました.こういう文章を高校教科書に入れてくれた教科書編集者(筑摩書房)にあらためて感謝.「ラムネ氏のこと」は,また書いてみたいな.
なお,青空文庫トップページには,「著作権70年反対」のバナーが掲げられています.
訂正記録 2014.02.19 「歩け」→「歩こう」.どうも,「365日のマーチ」(でしたっけ)と歌詞がごっちゃになっていたようです.