バクチ打つなら 阿弥陀と打ちやれ
六がころころ 六字ばっかり
これを 才市にとらするぞ
ご恩うれしや なむあみだぶつ
(楠, 一, p.48)
先に「あなた(阿弥陀さま)は十八 若娘」という口あいをご紹介しましたが,今回の口あいも,無茶苦茶な喩えですね.阿弥陀さんは,サイコロ賭博なんかに手を出していらしたのですか.知らなかった・・・(^^;).
口あいの大意はつぎのようなところでしょうか.
阿弥陀様は六字の名号(「南無阿弥陀仏」)だから,阿弥陀様がサイコロを振れば6の目ばかり出る.だから,阿弥陀様とサイコロ賭博をすれば楽勝間違いなし.でも,阿弥陀様が6の目だけを出すのは,私に楽勝させるためであった.ご恩うれしや,なむあみだぶつ.
“六字ばっかりで才市にとらする”とは,「たもちやすく称えやすい南無阿弥陀仏の名号を考え出してくださり」(『歎異抄』)ということですね.喩えは無茶苦茶ですが,内容はまともな口あいなのでした.
【補足】
楠, 一, p.48:楠恭編『妙好人才市の歌 全』の一, p.48(一の第1ノート, 114番).因みに,この次に記されている口あいも,“なんじゃ,こりゃ”というような喩えがあります.すこし間をあけて,そのうちにご紹介します(変なのばかり続けると,誤解されそうですので).
「たもちやすく称えやすい・・・」:『歎異抄』第11条より.
阿弥陀仏は、誓願の不可思議なはたらきにより,たもちやすく称えやすい南無阿弥陀仏の名号を考え出してくださり,この名号を称えるものを浄土に迎えとろうと約束されているのです。
(本願寺刊 現代語訳.テキストは妙念寺さまのこの頁からお借りしました)
『真宗聖典 注釈版』ではp.838.
誓願の不思議によりて、やすくたもち、となへやすき名号を案じいだしたまひて、この名字をとなへんものをむかへとらんと御約束あることなれば
阿弥陀さんの振るサイコロはピンしか出ないような気がします。
これだけ、これ一つだけ信じておくれ!!ですから・・・
目当て(正機)はただひとりの私だけですからね
ありがたいことです、長らく(10こうも)待たせています・・すみません
わたしの方は孫悟空のように化身の術を使いいろんな私を演じていますがそれもお見通しか・・・