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[才市] 六字の月に 照らしとられて
旧ブログ 2011年10月15日 (土)

この闇が
六字の月に 照らしとられて
娑婆ながら
六字のなかに おるぞうれしや
(楠, 二, p.219)

 ご導師(ご講師)に光善寺(江津市 後地)の相山一善師をお迎えし,12,13日と報恩講をお勤めしました.今年の報恩講はちょうど十五夜で,月がきれいに輝いていました.ご法話でも月の光の話が少し出てきた(ように思う^^;)ので,お月さんの口あいを掲げておきます.

 こうして今年の報恩講を勤めている間,昨年はまだ父(前住職)がいたという思いが繰り返し浮かんできました.昨年の報恩講のとき,父はすでに出勤はできない状態で,ちょっとご挨拶に出,聴聞の席に短時間ついただけで,あとは庫裏の奥で休んでいました.喚鐘の音,台所のざわめきを,一人どういう思いで聞いていたのだろうかと,改めて思いました.
 父だけではありません.この一年間に本当にたくさんの方々がご往生されたり,施設に入ったりして,去っ行かれました.本堂でご挨拶に立ったとき,去年までは必ず見えていた顔がいくつも見えませんでした.帳場でも,聞こえない声がありました.
 無常迅速という言葉を改めて感じさせられるとともに,こうして報恩講が勤まることがとくに有難く思われました.今宵の月はことにたうとき・・・.

君あしたに去ぬゆふべのこゝろ千々に
何ぞはるかなる
君をおもふて岡のべに行つ遊ぶ
をかのべ何ぞかくかなしき
蒲公の黄に薺のしろう咲きたる
見る人ぞなき
雉子のあるかひたなきに鳴を聞ば
友ありき河をへだてゝ住にき
へげのけぶりのはと打ちれば西吹風の
はげしくて小竹原真すげはら
のがるべきかたぞなき
友ありき河をへだてゝ住にきけふは
ほろゝともなかぬ
君あしたに去ぬゆふべのこゝろ千々に
何ぞはるかなる
我庵のあみだ仏ともし火もものせず
はなもまいらせずすごすごと彳める今宵は
ことにたうとき
                 釈蕪村百拝書
(蕪村「北寿老仙をいたむ」)

【補足】
 楠, 二, p.219:楠恭編『妙好人才市の歌 全』の二, p.219(二の第8ノート, 70番).
 蕪村「北寿老仙をいたむ」:ハードディスク内にある「蕪村集」ファイルから取ってきました.インターネット上から集めてきた蕪村の句や文をまとめたファイルで,どなたが入力されたものか不明です m(_ _)m.

 ご導師,相山一善師のブログがこちらにあります.

コメント

月愛三味ですね。太陽光は明るいけど反面強い影をつくりますが、月光は影になるはずの部分にも光を届け、無明の闇の部分をつくりませんね。
おかげ(陰)さまの陰は阿弥陀さまのことだとも教えていただきました。
申し遅れましたが、報恩講嚴修 「おめでとうとざいました」
以前、手次寺の報恩講の講師の先生が「報恩講の御満座が終わったら
住職さんに おめでとうございます と挨拶をするのですよ」とお話をされました。翌日その話を聞かれた門徒さんが おめでとうございました と一升下げて挨拶にみえたそうです。ありがたいことですね。

 破旬様,ありがとうございます.お返事遅くなりました.
 「光強ければ闇深し」という言葉をどこかで聞いたことがあります.どういう意味で使われたのか覚えていませんが,最近のニューヨークのデモなどは,闇が深くなった結果ですね.

occupy wall str. のデモを見て、当地の住人たちは「表現の自由をみとめます。」とうそぶいているようですが、影では「あの、愚か者どもが!税金の40%はわしらが払っているんだそ!(社会的責任はちゃんと果たしているのに)」と言っているそうです。よく聞いてみれば、税金の40%を払えるほど富を独占していることですね。
 安保闘争で国会を取り巻くデモを○○総理(思い出せない)と弟の佐藤栄作氏は首相官邸でブランデーグラスを片手にテレビで見ていたそうですが、顔は微笑みだったか、引き攣つていたかどちらでしょう?
 いずれにしろ、握り締めているその手を離せば、楽に生きられると仏教は教えてくれているのですが・・・なかなかできません

 壷を使ってサルを生け捕りにする方法という話を聞いたことがあります.
 口の細くなった壷に穀物を入れて置いおく.穀物を取ろうと手を突っ込んだサルは,穀物を握り締めて手が抜けなくなる.そこをを生け捕りにする,という方法です.
 こんな方法でサルが本当に生け捕りできるか疑問ですが,穀物を握り締めたままジタバタするサルの姿を思うと哀れにも滑稽です.それが私の姿ですね.
 子供の頃,つかみ取っただけの5円玉を賞品としてもらえるというゲームをしたことがあります.張り切ってつかんだのですが,箱の口が小さくしてあって,手が抜けない.そのとき,このサルの話を思い出して,完全に戦意喪失(?)したことがあります(^_^;;).

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