罪とともにくるぞ 火の車
いやでもくるぞ 火の車
罪とともにくるぞ 弥陀の名号
いやでもくるぞ 弥陀の名号
すくわれたこと
(『ご恩うれしや』p.234)
この歌の4行目あたりで笑ってしまうのは私だけでしょうか.
前半2行は,仏教の決まり文句というか,こんなことばかり言っているのが仏教,という印象を抱いている方が多いのかな,と思ったりもします.クソ坊主なら,このあとに「だからお布施をたくさん持ってきてね」とでも言うのでしょうか.
しかし,火の車で地獄行き,が定まった私こそ,弥陀の本願の対象です.そういう私を,逃げるなら追いかけてでも救うと仰るのが阿弥陀さまです.
前半2行では,追い詰められ,圧迫された気持ちになります.その縮こまった心が,後半で,阿弥陀さまの広い世界に向かって一気に解き放たれる.そういう開放感から4行目あたりで思わず笑ってしまうのでしょう.
笑ったあとでもう一度読み直すと,この歌全体が,仏教の決まり文句のパロディといった趣があります.そして,指揮者が最後にすっとタクトを振って音を収めるように,最後の一行で騒ぎをしずめる.
才市さんには,こんな笑える歌,言葉遊びのような歌が時々あります.