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[才市] 胸に吹く風 弥陀の名号
旧ブログ 2016年4月30日 (土)

 当山仏教婦人会恒例の給食サービスが,29日に仏教婦人会の皆様によって実施されました.町内の一人暮らし,または老夫婦二人だけのお家にお弁当をお届けする給食サービスです.先代から続く行事ですので,もう30年(以上?)くらい続いています.
 受け取られる側の都合もあるでしょうし,最近は実施日を4月29日と12月23日に固定していまが,仏婦会員の方に「まだですか」と問い合わせもあるそうで,年に2回だけとはいえ,楽しみにしていただいているようです.
 例によって,実際の仕事は仏教婦人会の皆様と坊守がおこない,私の仕事は,弁当の包装紙に印刷する文章を考えるだけでした.今年は次のような文章を付けさせていただきました.

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 春もたけなわ、外を歩くと草花が咲き乱れ、気持ちの良い風が吹いていますが、いかがお過ごしでしょうか。お経の中には、「微風吹動」(みふうすいどう)という言葉があります。お浄土の宝樹などが「そよ風に吹かれて揺れる」という意味です。前後の関係を見ると初夏の涼風のようですが、今の季節に読むと、春のそよ風のように感じられますね。20160430_kyushoku1
 才市さんに

胸に吹く風 弥陀の名号
いつもふくふく(吹く吹く)
なむあみだぶが

という口あいがあります。ひょっとすると、お経の「微風吹動」を聞いてできた口あいかもしれませんが、これも春とも夏とも言えそうです。
 才市さんには、こんな口あいもあります。20160430_kyushoku2

ふくふくと 胸に吹く風
弥陀の国から 吹いてくる風
胸に当たるぞ そよそよと
おもしろや

 これはどうも「ふくふくと暖かい」春風という感じですね。いや、寒い冬に読めば「心の中には温かい風が吹く」という感じになりそうです。才市さんの胸にはいつの季節でも、気持ちの良い風(「なむあみだぶ」)が阿弥陀様の国から吹いていたのでしょう。
 仏様の国から吹く風は、春風と同じで、わけへだてはしません。皆に同じように吹いてきます。どうぞ、暖かい春のそよ風に吹かれながら、仏様の国から私の胸に吹いてくる気持ちの良い微風をお感じになられますよう。
 ささやかですが、安楽寺仏教婦人会からお弁当をお届けします。今回も社会福祉協議会のご援助を頂きました。ありがとうございました。

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 因みに写真に写っている場所は門信徒会館の台所とその隣の部屋です.皆様のご寄付によって門信徒会館を立てていただいてから,こういうことが楽に実施できるようになりました.これを機会に改めてお礼申し上げます.

【補足】
 最初の口あいの全文は次の通りです.

胸に吹く風 弥陀の名号
いつも吹く吹く
南無阿弥陀が
風も雨も一度に吹く降る
機も法もいちどきに
吹いたり降ったり
ご恩うれしや南無阿弥陀仏
(鈴木大拙編著『妙好人浅原才市集』, ノート16の180番, p.267).

 二つ目の「ふくふくと 胸に吹く風・・・」は,鈴木大拙編著『妙好人浅原才市集』, ノート7の33番, pp.92--93.
 どちらも,用字,改行などを読みやすく改ました.

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