才市顕彰会作成『浅原才市』というヴィデオに記録されている地元の人が才市さんを回想している言葉，その2つ目は，佐野トナさんです．

　まず，分かりやすく書き直したもの．

わたしは，八十八[歳]でございましてな，お，そうではない，四でございまして，今年で．
親が八十八で死にましてな，才市さんとイトコという親ですが．
私の親がイトコでございまして，ええ．
[中略？]
[才市さんは]涙を出してなぁ，あの，・・・[不明]さん，泣くような声をしてなぁ，
シンから声を聞きなさるのだから・・・，のの様[の声]をな[？]．
われわれの[聞き方]は，ほんのうわの空でございます．
いや，ほんと・・・．
あの，下駄[作り，修繕]をしながら，
「ああ，ありがたいなぁ」と言って
泣き声でなぁ・・・．
やれやれ，今は，あんな人はいらっしゃいませんよ，今頃はねぇ・・・．

　次は，できるだけ忠実に文字に起こしたもの．

わたしゃ八十八でございまして，お，そがじゃない，四でございまして，今年で．
親が八十八で死にましてな，サイッツァンとイトコだいう親がな．
私の親がイトコでございまして，ええ．
[中略？]
涙だいてなぁ，あの，お・・・[不明]さん，泣くような声をしてなぁ，
シンから声を聞きなさるだけ，ののさんがな，
われわれのは，ほんのうわの空でございます・・・・
いや，ほんと，・・・
あの，下駄しぃしぃ，
ああ，ありがたいなぁ，てゆうてから
泣き声でなぁ・・・
やれやれ，今ぁ，あがな人，おりゃしなさらんで，今頃はなぁ・・・

　4行目の[中略]ですが，ここでヴィデオが一部カットされているようです．ご自分の親ごさんの話でもされていたのでしょうか．
　5行目の[不明]の箇所はよく聞き取れませんでした．聞き手に向かって，「・・・さん」と呼びかけているような感じなのですが・・・．
　6行目の「ののさんがな」もちょっと意味不明．後への続き具合から「仏様の声をシンから[芯から，心から＝心の底から]お聞きになっていた」という意味にとっておきました．