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‘仏法を聞く時間は盗み取るものである’
旧ブログ 2010年4月21日 (水)

 本を読む時間は盗み取るものである.ちょうど,手紙を書く時間,愛し合う時間がそうであるように(ある読書論から記憶による引用)

 ‘本は読みたいが時間がない,というのは単なる言い訳にすぎない,本当に本が読みたい人は時間を作ってでも読む’という意味でしょう.フランスの高校の先生が,高校生向きに書いた‘読書の勧め’にあった言葉だったと思います.

 「愛し合う時間」なんていかにもフランス人らしい(フランス人への偏見?)と感じると同時に,高校生に向かってこんな粋なことを言っていいのかいって思ってしまいました.「手紙を書く時間」というのも,ちょっと意外で面白い.もっとも,いまどきの高校生なら,‘ケータイ・メールを書く時間’と受け取って納得するかもしれません(因みにこの本を読んだのは,インターネットやケータイが普及する前です.この手紙は昔ながらの手紙ですね).

 これに倣って,‘仏法を聞く時間は盗み取るべきものである.ちょうど,手紙を書く時間,愛し合う時間がそうであるように’なんて言ったら不謹慎ですか?

仏法は世間の用事を差しおいて聞きなさい.
(蓮如上人)

【補足】

仏法には世間のひまを闕《か》きてきくべし。世間の隙をあけて法をきくべきやうに思ふこと、あさましきことなり。仏法には明日といふことはあるまじきよしの仰せに候ふ。「たとひ大千世界に みてらん火をもすぎゆきて 仏の御名をきくひとは ながく不退にかなふなり」と、『和讃』にあそばされ候ふ。
(『蓮如上人御一代記聞書』(155).『真宗聖典 注釈版』 p.1280.本文中の引用は,同現代語訳(本願寺) p.100 より).


 肝心の‘読書の勧め’の方は,メモがどこかにいってしまって著者・書名がわかりません(いや,メモのある場所はだいたい見当がついているのですが,引っ張り出すのは腰に悪そうで確認できません.上の引用も記憶によるものです).googleで検索した結果からは,ダニエル・ペナック『奔放な読書-本嫌いのための新読書術』のような気がするのですが・・・.

 因みに,著者は自分のクラスで,毎日『香水』という小説を朗読して聞かせたそうです(これも,学校で教師が朗読して聞かせる小説としては思い切った選択ですね).その結果,あるフランスの高校生は‘本を読む時間なんてポケットに入っているよ(ちょっとした時間に読めるようにポケットにいつも本を入れている)’と言うまでに読書好きになったとか.
 さらに,因みに:毎朝15分の‘朝読書’を実施すれば生徒にいろいろいい影響がありそうだけど,時間がなくて実施できない・・・そんなことを言っているところに,高校でも「総合的な学習の時間」を実施することになりました.そこで,この時間を‘朝読書’に利用しようという話がでましたが,結局実現しませんでした.文科省によると,そういうのは「総合的な学習の時間」の趣旨に合わないそうです.もともと時間がないところに,「総合的な学習の時間」で余計に窮屈になり,最近では‘朝読書をしたら’なんて声も聞こえなくなりました.

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