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安楽寺の龍
2000.2.27, 2015. 3. 8 改

龍の漆喰彫刻

この龍は,安楽寺本堂破風にある「鏝絵」(漆喰彫刻)です.温泉津近辺では,大小さまざまな鏝絵を見ることができます(特に,石見銀山がある大森の西性寺の鏝絵は見事です).

当山のこの鏝絵は,1889年(明治22年)に本堂が再建されたとき,地元の左官, 山本庄吉(1857~1947)さんによって作られました.

百年以上も潮風に吹かれてきたのに,髭が一本抜け落ちた他は欠たところもなく, 昔の職人の仕事振りを窺わせる作品です. もっとも,完璧を求める職人気質ゆえか, 山本さんは,この作品の仕上りに不満足だったとか....


石見からは多くの人々が,左官などとして京阪神地方に 出稼ぎに出ていますが, これは,明治の昔も同じでした. 京阪神地方の近代建築の源流を 探ると石見職人に行き着くということで, 先年,当地へも調査の方がお見えになりました. 山本さんも出稼ぎに出ておられたのです.

石見の片田舎にひっそりと住むこの龍も, 意外なところで日本の近代化と繋がっていたのでした.


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