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「いくたびくちづけたらあなたは振り向くの」
旧ブログ 2017年1月26日 (木)

ねえ いくたびくちづけたら
あなたは振り向くの
いくたび眠れぬ夜を
数えたら朝が来る
(松本 隆「悲しい妖精」)
・・・・

 南沙織の歌(1976)の一節です.この歌は,「ひと言好きと言ってね,頬そめて待ってます」と結ばれる恋歌で,「どれほど傷ついたら,大人に変われるかしら」など,いかにも南沙織らしい一節もあり,私の好きな歌の一つです.ところが困ったことに,原発再開のニュースなど,何度ひどい目にあっても繰り返される愚行を目にするたびに,この歌が頭に浮かんできます.スリーマイル島,チェルノブイリ,福島・・・いったい,いくたび酷い目にあえば,われわれは目が覚めるのだろう,と.無粋なこと,この上ない.

 ボブ・ディランの「風に吹かれて」(1962)に「いくたび砲弾が飛び交えば,永久に止むのだろう」という一節があります.原発再開やオスプレイ墜落のニュースを聞いて思いだすのには,こちらの歌の方がふさわしいのですが,南沙織が頭に浮かぶ.やれやれ.

【補足】
松本 隆「悲しい妖精」:松本 隆 作詩,Janis Ian 作曲,萩田 光雄 編曲,南沙 織 歌.歌詞は『Recall: Saori Minami Best』の歌詞カードから.

このフレーズを,阿弥陀様の思いと解するような話もできそうですが,なんだか,変ですね.余談ですが,キリスト教では神と人との関係を男女の関係に喩えることがよくあるのに(『ソロモンの雅歌』など),仏教では,親子関係限定という感じがします(もっとも,才市さんには滑稽な口あいがありますが).この感じ,合ってますか?

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