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 [才市] 報恩講 それに参るは才市でござる
旧ブログ 2012年10月 8日 (月)

報恩講
それに参るは才市でござる
ご恩うれしや 南無阿弥陀仏
これは大福長者 才市は長者
(鈴木, p.242)

 当山報恩講のご案内には才市さんの口あいを掲げるようにしていますが,今年は,上記の口あいを載せました.「才市は長者」というのが要でしょうか.でも今日は,「それに参るは才市でござる」で連想したことを二つばかり記します.

その1: 高校の国語の時間に聞いた話
あるひとが「岩鼻やここにもひとり月の客」という句を作った.師匠が,これを秀句として句集に採ろうとしたが,念のため「この“月の客”とは誰のことか」と作者に尋ねたところ,「サルだ」との答え.それを聞いて師匠曰く,「サルとは何事だ.これは自分の名乗りでないといけない.サルだと言うのなら,句集に採るのは止める」.

その2: 漱石の『我輩は猫である』の中にある話
ある人が「俳劇」なるものを上演しようとする.俳句趣味の劇という意味で,舞台は簡素に,中央に柳が1本,それにカラスが止まっていて,その下で美人が行水をしている.花道から俳句の師匠らしき人物がでてきて,句をひねっているような所作.ふと見ると女が行水をしている.はっと思って上を見るとカラスが見下ろしている.そこで感動した面持ちで「行水の女に惚れる烏かな」と一句,拍子木がチョン,幕.
 行水の女に惚れたのは実は師匠自身である.その自分の気持ちを烏に投影してこの句ができた.つまり,「女に惚れる烏かな」と言いながら,「ここに,女に惚れた自分がいる」と名乗っているのである・・・.

 その1は,検索を掛けてみると,芭蕉と去来の話だそうで,師匠とのやり取りやその意味合いがちょっと違っているようですが,記憶に残っているままに記しました.
 その2も,記憶によって書いていますのでどこまで正確かわかりません.そもそも,『我輩は猫である』で登場人物が披露する話なので,どこまで本気なのか分かりません.“こういう劇が俳句趣味だというのは,どこまで本気ですか”って漱石に聞いても,“オレの知ったことか”って返事されそうな気がします.

 二つとも,私にとっては茫漠とした話で,その真意も本気度(?)もまったくわかりません.「感動した自分がここにいる」という名乗りが俳句にとっては大切なのかなぁなんて漠然と思った程度です.その漠とした思いが,才市さんの「それに参るは才市でござる」でフラフラさまよい出てきました.

 というわけで,今日の記事は,極めて無責任な記事ですので,あとは読んでくださった方の方で適当によろしく!

【補足】
 鈴木, p.242:鈴木大拙編著『妙好人浅原才市集』, p.242.

 さて,今年も報恩講を勤めることができそうです.10月12日(金), 13日(土),ご導師(ご講師)は島根県大田市正蔵坊,菅原龍憲師です.

追記:誤字訂正2ヶ所.2012.10.08

コメント

たいへんご無沙汰いたしておりました。
報恩講シ-ズンですね、当地は大根をお斎に煮ますので、お講の勤まるお寺にいくと いい匂いがします。北陸などは初秋に勤まることがおおいのですが、石見もこの時期のようですね。
体調いかがですか?
我が家も三〇年来半身不随と失語症の母親と最近とみに糖尿病の合併症のオンパレ-ドの連れ合いがいて、暗い家必至とおもいきや、そんなおばあちゃんを見て育ったためか、子供たちが明るく面倒をみてくれて ほの暗い 家庭で済んでいます。
才市さんのころは 報恩講参りは門徒の義務のような時代だったでしょうから大福長者は言いすぎかもしれませんが、現在では老若男女問わず報恩講にお参り出来る方は長者さまですね。
手次の寺の報恩講が今月15~17日に勤まります。準備と後片付けでほぼ一週間仕事ができない毎年でしたが、今年は公職を拝命しているので12月議会真っ最中!!ご無礼することになりそうです。長者さまから
貧乏人に降格されてしまいました。代わりに糖尿病の連れ合いどのが頑張るようです。

破旬さま お返事遅くなりました.

公私ともども大変なご様子ですね.
でも,暗いところだからこそ,灯が嬉しい
ということもあるのでしょうね.

当方は,大変なんだか,そうでないのか
なんだか判然としません.体調は,一応
順調です.

blogの更新も,破旬さんを始めとする人様の
blogの閲覧も止っていますが,体調が悪いと
いうわけではありません.
ただ,やたら眠くて・・・.

急に冬になりました.寒い中,輪をかけて
お忙しいことと思います.今年のインフルエンザは
たちが悪いとか.お互い,身体に気をつけて
乗り切りましょう.

>お互い,身体に気をつけて 乗り切りましょう.

ですよね、お互いもう若くない(村の渡しの船頭さんは ことし60のおじいさん・・・という童謡の歌詞がありましたが十分おじいさんですから)のでそうしましょう!!

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