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[才市] 悪いことはせんがよい
旧ブログ 2011年12月 7日 (水)

わるいことは せんがよい
わるいこと こころとがめて
法のじゃまもの
ごおんよろこぶじゃまをする
(『ご恩うれしや』, p.112)

 昔,『逃亡者』というTV番組がありました.無実の罪で有罪となった主人公が,護送中の列車事故で,はからずも脱走,逮捕に執念を燃やす刑事の追跡をかわしながら真犯人を探すと言う物語です.その最終回にこんな場面があったように思います.

 ついに清廉潔白が証明されて裁判所を出ると,通りに警察官の姿があった.それを見た主人公は,すっと顔を背け,反対側に歩き出そうとする.付き添っていた女性から,「リチャート,もう済んだのよ」と言われて,苦笑い・・・.

 長い逃亡生活で,警察官から顔を背ける習慣がついてしまったのですね.

 このドラマでは無実の罪だったのですが,実際にやましいところがある人は,追われていなくても,警察官からつい逃げ出そうとするでしょう.「すねに傷持つ者は追われずとも逃げる」という諺が西洋にはあるそうです.
 だだでさえ,私たちはすねに傷持つものです.咎められているような気がして阿弥陀様から逃げ出すか,そうでなければ,開き直ってしまう.そんなすねの傷を好き好んで増やしたりせずに,

「妄念をいとわずして,・・・常に名号を唱うべし」(『横川法語』)

【補足】
 『横川法語』:テキストはこちらからお借りしました(「・・・」は引用者による省略).大谷派の聖典だそうです.『真宗聖典 注釈版』(西本願寺)所収のテキストには,引用した文はありません.

 御無沙汰しました.
 『逃亡者』の場面ははるか昔の記憶で書いていますので,違っているかもしれません.
 余談ですが,『逃亡者』は,「黄門さま漫遊記」の逆ヴァージョンみたいなところがありますね.各地を転々としながら,さまざまな職業の,さまざまな人に出会う・・・似たような枠組みのなかで,どちらも物語を延々と続けることができますね.
 ついでにもう一つ.逃亡中の主人公が州境を越えたとき,いっしょに見ていた父が,“とうとう州を越えてしまった”と,さも一大事のようにつぶやいたことを覚えています.なぜ一大事なのか尋ねたと思うのですが,それは覚えていません(多分,説明が理解できなかったのでしょう^^;).ただ,アメリカの州と日本の県は随分違うものらしいとおぼろながらに感じました(もっとも,今でもどう違うか正確には知りませんが).

コメント

スカパーでモノクロの「逃亡者」やってました、ジェラード警部憎ららしい顔をしてました。to be continue! という日本語の「続く!」のクレジットを思い出しました。
真犯人や悪人は自分が悪いことを知っていますが、私たちは悪いと思わず悪を犯していたり、それがいいことと思い込んで善人面して悪をしています。その面から悪人よりたちが悪いかもしれませんね。朋友(法友)と話していると「そりゃ〜あんたが悪い!」と思いがけずいわれることがあります。自分の一面性を思い知らされることです。話し合いは大切ですね。
来年2月に組で「リレー感話の会」をすることになりました。3人ほどのいろんな階層の門徒(住職も)さんの感話を受けて講師の先生に批判を含め締めてもらう企画です。さてどんな結末になりますや?

 「ジェラード警部」でしたか.あの警部の顔は覚えているのですが,名前が思い出せませんでした.ついでに,主人公は「リチャード・キンブル」でしたよね?

>私たちは悪いと思わず悪を犯していたり、それがいいことと思い込んで善人面して悪をしています。その面から悪人よりたちが悪いかもしれませんね。

 そっちの方が多いですね.今日,たまたま古新聞を見ていたら,十字軍について(塩野七生氏が??)書いている記事が目に留まりました.十字軍は何度かありましたが,その“意義”をもっとも強く意識した王に指揮された十字軍が一番悲惨だったそうです.
 真宗は,仏教の中では“原理主義”的な性格が色濃い宗派だと思います.だから素晴らしいのですが,凡夫の手に掛かると,それがとんでもない結果を生みかねないことは時々思い出したほうがいいかもしれません.

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