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[才市] いさみ いさんで ねんぶつとなえ
旧ブログ 2011年7月 2日 (土)

いさみ いさんで ねんぶつとなえ
みださまに ごくよう《供養》もうそうや
なむあみだぶつ なむあみだぶつ
(『ご恩うれしや』, p.146)

 “勇んで(精んで)念仏を称える” と言えば,蓮如上人のこのお言葉.

(52) 『報恩講私記』に「憶念称名いさみありて」とあるのは,称名は喜びいさんでする念仏だということである.信心をいただいた上は,うれしさのあまりいさんで称える念仏なのである.
(『御一代記』, p.41)

 才市さんもこの話を聞いて,上の口あいが出たのでしょうか? 蓮如上人の「いさんで」は「精んで」だと言われますが,才市さんの「いさんで」は,「勇んで」という感じですね.前回の「借りてきた念仏」に対し,喜びいさんで称えさせていただくのが本当のお念仏だということですが・・・.これに頷いて,なんまんだぶとお念仏が出てくればけっこうなことなのですが,むしろ,唯円房の嘆きが胸に迫ってきます.

念仏していますが,喜びの心は薄く,天におどり地におどるほどの喜びの心が湧いてまいりませんし,また急いで浄土へまいりたいと思う心が起こってこないのは・・・
(『歎異鈔』)

【補足】
 『御一代記』:『蓮如上人後一代記聞書 現代語版』(本願寺, 1999).
『真宗聖典 注釈版』では,

(52) 一,「憶念称名いさみありて」(報恩講私記)とは,称名はいさみの念仏なり,信のうへはうれしくいさみて申す念仏なり.(p.1249)

 『歎異鈔』:第9条.現代語訳は,梯實圓『歎異鈔 聖典セミナー』(本願寺, 1998), p.241 から引用しました.なお,『歎異鈔』の現代語訳は本願寺から出ていますが,『聖典テミナー』が手元にあったのでこちらから引用しました.他意はありません.
『真宗聖典 注釈版』では,

(9) 一 念仏申し候へども、踊躍歓喜のこころおろそかに候ふこと、またいそぎ浄土へまゐりたきこころの候はぬは・・・(p.836).

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